Learn from Experience & Letter
経験者から学ぶ&交換留学派遣生からの便り

T.R

ドイツ

体験を楽しんで

T.Rさん

人文学部 人文学科
留学期間:2019年3月 ~ 2020年2月
留学先:レーゲンスブルク大学

留学先大学について

 私が留学した大学は、ドイツのレーゲンスブルク大学です。レーゲンスブルクはドイツ南部のバイエルン州にある街で、ミュンヘンからは電車で1時間半ほどの位置にあります。この街は世界遺産都市に指定されていて、駅の近くの旧市街に足を踏み入れると、かわいらしい街並みを見ることができます。旧市街は意外と広くて、チェーン店から個人店までさまざまなお店が並んでいます。クリスマスの時期には中央広場でクリスマスマーケット(Weihnachtsmarkt)が催されることもあり、ドイツらしさを楽しむにはぴったりの街です。この街は都会というわけではなくて、むしろのどかで穏やかな街です。しばらく住むとわかるのですが、この街は松本に似ていると思います。松本のあののんびりとした空気が好きな人にはおすすめです。治安も良く、日中であれば1人で出歩いても問題はありません。

学習面について

 私は3月から留学を始めました。授業が始まるのは4月からなのですが、3月にはILC (Intensive Language Course) という、授業とは別に申し込んで受講できる準備コースを受けていたのです。これはぜひ受講することをおすすめします。このコースは学習面においても役に立ちますが、円滑に留学を開始することにも役立ちます。というのも、ほとんどの留学生がこのコースを受講するので、それを見越してコースが始まる数日前から留学生たちのためのプログラムが組まれているのです。街の案内や、学校への登録、住民登録などを留学生みんなで集まって行います。集団で、説明を受けながら必要書類を書き込んだりできるので、個人で辞書を片手に奮闘するよりずっと早くて簡単です。

 この一連の作業を終えてから、準備コースが始まります。準備コースは月~金まで毎日あり、これが4週間ほど続きます。時間は朝から午後3時くらいまでなので、なかなかに疲れます。ですが、このコースを受けることでかなりドイツ語に慣れることができるので、受けると受けないではかなり違いが出ると思います。コースが始まる前に、ドイツ語レベルを測定するためのテストを受け、その結果から自分に合ったレベルのクラスを受講できるので、ドイツ語に自信がない人でも大丈夫です。

 準備コースを終えると、イースター休みをはさんで授業が始まります。履修はネット上で行いますが、メールで丁寧な案内があるので、やり方がわからないということはありません。また、大学での授業は各生徒の言語レベルに合った授業がそれぞれ用意されており、その中から選ぶ仕様になっています。リスニング、ライティングなどのドイツ語を学ぶための授業から、レーゲンスブルクの地理を学ぶ授業やドイツ映画について学ぶ授業などの文化的な授業があります。準備コースよりも大分時間に余裕ができるので、空いた日には街を散策したりタンデムを行ったりできます。

 タンデムというのは、扱う言語が違うもの同士で言語を教え合うことを言います。レーゲンスブルクでは、日本人のコミュニティが存在し、留学生はそこの紹介を受けることができます。そこではタンデムパートナーの斡旋があり、自分に合ったパートナーを見つけることができます。私はドイツ在住のウクライナ人の女性とパートナーになることができたのですが、彼女とは趣味や話があって、お互い有意義な時間を過ごすことができました。言語を教えあうということで、日本語のことをドイツ語で説明したり、なるべく簡単な日本語を使うよう考えたりして、まるでもう1つの授業のようでした。ただし授業と違って、あくまで友達感覚でできるので気を張ることがなくて楽しいです。タンデムパートナーはぜひ組むことをおすすめします。

生活について

 ドイツで生活をするのは、基本的には楽です。日用品の値段がとても安いのです(ジャガイモが10Kg数ユーロで売っていたりします)。食にこだわりがなければ、適当にパンやハムに野菜を買って簡単な食事を済ませることができます。こだわりがある人は(私はこちらでした)中心街にあるアジア系の食品を売る店に行けば、だしの素や酒、みりんに醤油、味噌などの日本の調味料を購入することができます。

 学生は大抵、学生寮に住むことになります。学生寮から大学までは20分おきにバスが出ています。市内の移動はほとんどがバスです。バスは学生ならば市内に限り無料で利用できるので、とても便利です。レーゲンスブルク郊外にIKEAがあるのですが、そこにもバスで行くことができます。品揃えがよくて価格も低めなので、生活用品はまずそこで揃えるのをおすすめします。

 学生寮は基本的にはキッチンが共用です。買った食材は冷蔵庫に入れて問題はありませんが、まれに誰か知らない人に頂戴されることもあるので、どうしても取られたくないものには名前を書いておいた方がいいです。また、キッチンによっては使用するのに勇気がいるほど汚れているところもあります。私が使用していたキッチンはそこまで汚くはありませんでしたが、夏になると小さい虫が無数に沸いて大変でした。洗っていない食器などが多く積み重なり、使っていない食材がそのへんに転がっていたりもしたのでそこに集まっているようでした。あまりに酷かったので1度大掃除をして、虫対策のグッズなども薬局で購入してどうにかしました。週に何度か掃除にやってくる人はいるのですが、床を拭く以外に世話をしてくれるわけではないので、あまりに酷ければ自分で掃除をしてしまった方がいいです。

留学で得たこと

 ドイツ語力の向上はもちろんとして、何よりドイツでの人々や、生活に根差したドイツ語に触れることができました。ああ、意外とこの言葉は使わないんだ、とか、むしろネイティブの方が文法を適当に使ったりするなあ、などの様々な発見がありました。また、レーゲンスブルクには世界中あちこちから留学生が訪れます。その留学生たちと一緒に授業を受けて、ドイツ語でコミュニケーションを図ることはとても楽しかったです。英語なまりが強い留学生や、母国語の影響を大きく受けているなという留学生と一緒に勉強をするのは時に大変でした。しかし、クセがわかってくると「彼は英語なまりが強いからwの発音が柔らかくなってgの発音が硬くなる……だから本来こう言いたかったんだな」といった風に理解できるようになり、だんだんと人柄などもわかってきてお茶目な一面を見ることができたりして、留学をしなければ得られない貴重な体験をすることができました。留学で得られる主なものはやはり体験です。単に言語力だけに向き合うのではなく、生活様式や街の空気、人々との関わりを通して得られるものには確かな価値があったと思います。

後輩へのアドバイス、大学へのメッセージ等

 留学には、期待と同時に様々な不安が付きまといます。留学しているんだししっかりしなくちゃ、とどうしても気を張ってしまいますが、実際はもう少し肩の力を抜いても大丈夫です。大学側はしっかりサポートをしてくれますし、日本からの他の留学生と力を合わせたり、コミュニティにお世話になることもできます。使えるものはどんどん使って、神経質になりすぎないよう楽しい留学をしてください。

 留学生活の支援をしてくださった家族や先生方、学務の方々、知の森基金には感謝をしてもしきれません。本当にありがとうございました。